韓国社会|財閥のアウトレット戦争@パジュ

韓国社会|財閥のアウトレット戦争@パジュ


以前の記事でもパジュのプレミアムアウトレットについて少しご紹介しましたが、いよいよロッテのアウトレットも同じパジュにオープンしたということで、今月1日に、このようなコラムが載っていました。

日本人にも人気のあるパジュで、今何が起こっているのか、興味深い記事でしたのでご紹介します。




 

流通ライバルのロッテとサムソングループのひとつである新世界(シンセゲ)が京畿道坡州(パジュ)のアウトレット店舗で対戦しています。


両財閥グループは、車でわずか10分の距離のところに、それぞれのカラーを打ち出したアウトレット専門店を出したのです。
 
ロッテ百貨店は、「ロッテプレミアムアウトレット」パジュ店をオープンし、優秀顧客に対してひとまず招待イベントを開催しました。

この店舗は今年3月にオープンした「新世界チェルシー坡州プレミアムアウトレット」からわずか5.8㎞の距離にあります。車で10分しかかからない距離です。

すぐ近くにある両財閥のアウトレットですが、外観からして、それぞれ異なる特徴があるそうです。


 
ロッテアウトレットは、中央に幅30mの川が流れています。その川を基準に両側に分割された建物は、「サムヒョン橋」と「トゥルミ橋」という二つの橋が繋いでいます。

中央公園には、人形が設置され、店頭の前のほうには、テーマパークも入っています。子供を連れてくる主婦や家族単位の顧客をターゲットにしているからでしょう。

アウトレットではなかなか見かけない映画館や文化センターを設け、食品店舗を強化したのも同じ理由からだと思われます。

ソン・ジョンホ坡州(パジュ)店長は、「アウトレットの場合、平日は3億ウォン、週末には12億ウォンほどの売り上げがある」とし、「平日にも顧客を積極的に誘致するのが目標」と述べています。


 
一方、3月に一足先にオープンした「新世界チェルシーアウトレットはどこかエキゾチックな雰囲気です。

建物は1920年代〜1930年代のアメリカの中心街を連想させる「アールデコ(ArtDeco)様式」と呼ばれるものを採用しています。

また噴水広場や時計塔、池、ポストなど、装飾はヨーロッパ的な雰囲気を出しています。もちろん、本格的なアウトレットの機能を有しているのは言うまでもありません。



 ソ・チャンオ新世界チェルシー課長は、「チェルシーのグローバルネットワークを通じて、20以上の有名ブランドを本社から直接購入していて、並行輸入は遮断している」と述べ

「すべての店舗が、最低割引率を決めて入店するために、高品質の商品もリーズナブルな価格で買うことができるアウトレット本来の趣旨を生かした」と説明します。





どちらもプレミアム(高級)を強調しただけに入店するブランドの競争も激しいものとなっています。


ロッテは、プラダ、ポールスミス、マルベリー、ブライトリンクなど32のブランドをアウトレットに出店させています。また、入店している213店舗のうち、「新世界チェルシー」と重複しているのは39%程度ということです。

ロッテのソン店長は、「アウトレットですが、無条件に値を下げ、競争するのではなく、より多くの顧客を誘致し、アウトレットのブランドパワーを育てる競争になるだろう」と話しました。

韓国の人々のブランド(名品)に対する願望は最近ますます高まりをみせています。特に、自分の車で通勤することが一般的な、いわゆる車族のライフスタイルは、週末になると当然のように車を使って遠出することに、何の負担も感じません。

その意味で、パジュは、ソウルからドライブするにはちょうどいい距離に位置しています。さらに、名品(ブランド)を安く買えるというのはママたちにとって、かなり魅力的な場所なのです。
 
パジュに、新世界とロッテが作ったアウトレットは、財閥が地域の経済を潤わせるのに貢献したというように概ね良い評価を得ています。

実際、経済報告によると、1000以上の雇用を創出し、地域に就業率を向上させたと言われています。さらに、プサンの海雲台にあるデパートのように両財閥が隣り合わせて互いに相乗効果を計るという構図が、パジュにも生まれたわけです。

両財閥は、競争関係でもありますが、同じ地域に出店することで、互いに客足を増やせるという集客力の面でパートナーシップを作っているとも言えるでしょう。



写真は新世界のイメージ画像です。

 今まで韓国の財閥は、輸出によって国の経済成長を支えてきたというイメージが強くありました。しかし、今回のアウトレットのように地域に密着した財閥の動きは、地域に新しい雇用を生み出し、地域経済の活性化を実現させています。

すなわち、両財閥のアウトレットへの進出は、失業が問題視される中で、小さな都市に多くの雇用を生み出し、町を繁盛させたという意味では非常によかったと考えられるのです。

財閥に関しては、様々な批判や問題指摘もありますが、パジュの人々は自分の息子や娘が働く場所が近くに出来て、素直に嬉しいと話しています。


写真は、ロッテのイメージ画像です。

ところで、最近、パジュに行く人があまりにも多く、週末は車の渋滞がニュースで報道されるほど、話題になっています。
週末に行く予定の方は、渋滞の中で楽しめる遊び道具は必須かもしれません。

 
私どもの著書でもコラムで財閥のおはなしが出ていますが、韓国の財閥のことを少しでも知ると旅した時に景色が違って見えて面白いですね。是非お読みください。

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