韓国旅行|不滅に対する人間の欲望あるいは恐れ…。映画『ソボク』♪
映画「ソボク」は「建築学概論」(2012)のイ·ヨンジュ監督が9年ぶりに出した新作です。クローン人間を素材にしたSF(sciencefiction)で人間の欲望と恐怖を溶け込ませました。
クローン人間そのものに集中するよりは、これを見つめる人間の視線に従い、生と死のような本質的な価値について問いかけます。
細胞腫で死を控えた元情報局要員の「キホン」(コンユ)は幹細胞クローンと遺伝子組み換えで作られた実験体「ソボク」(パク·ボゴム)を移送する任務を提案されます。
クローン人間の存在に出くわしたキホンは戸惑いますが、それを通じて病気を治療できるという提案に任務を引き受けることになります。
任務を遂行する日、人類の救いであり災いにもなり得るソボクを狙う者たちの攻撃が始まります。
ソボクを利用して不滅の人生を生きようとする者と、人類に死に対する恐怖が消えれば災いになるとしてソボクの存在を隠そうとする者たちです。
キホンとソボクは彼らに追われる身になり、険しい同行の中で少しずつお互いを知っていくことになります。
死という人間の宿命の前にもがく人間キホンと、永遠に死なないが、存在理由に疑問を抱くクローン人間のソボク。極と極に置かれた彼らは互いにそれぞれの人生に向き合うようになります。
キホンは過去のトラウマの中に閉じこめられて、苦しみながらも生への未練を捨てられない自分を振り返るようになり、ソボクは永遠の時間に閉じこめられるようになった運命の意味を見つけようとします。
映画の中でソボクは「なぜ」という質問を投げかけます。なぜ自分を作ったのか、人間はなぜ死にたくないのか、なぜ死を恐れるのか…。
これは、映画が観客に投げかける質問でもあります。誰かに意味ある存在になりたいというソボクの叫びは、毎晩眠って朝には目を覚ます私たちがすべて探そうとする答えでもあります。
「ソボク」は既存のクローン人間を扱った映画とは趣が少し違います。クローン人間の誕生と未来の姿に対する想像力を刺激するSFというよりは、キホンをはじめ各自の立場で死と生に対する現実の中の人物にスポットを当てるドラマ的な要素がより強いのです。
答えにくい哲学的な質問をいっぱい抱えている映画ですが、ソボクが持つ特別な力とキホンのアクションシークエンスで見る楽しさを与えます。
さらに、キホンとソボクの仲違いする「ケミ」(ケミストリー、相性)は笑いを誘発し、緊張感を緩めます。2人の人物が警戒心を崩し、互いの傷を淡々と包み込む関係に進む旅程は映画に感性を加えています。
俳優たちはそれぞれ演じたキャラクターを鋭敏に生かしています。感情を感じられないようで、恨みと怒り、悲しみなど複合的な感情を出し合い、妙な雰囲気を作り出すパク・ボゴムは、実験体と人間の間にいるクローン人間を節制された感情演技の中で完成します。
コンユは、やつれた顔で過去の罪悪感に苦しみながらも、死を恐れる本質的な人間の姿を、より現実的に表現します。
キホンとソボクを追う悪役「アン部長」を演じたチョ·ウジンは、人間味を全く感じられないあくどいカリスマで劇にスピード感を吹き込みます。
ソボクの誕生と成長過程を見守った研究員「イム·セウン」を演じたチャン·ヨンナムは、ポーカーフェースで秘密の雰囲気を演出しながらも、短いが強烈な台詞で劇の中心を占めています。
映画は新型コロナウイルス拡大のため昨年上映が数回延期された末、今月15日、映画館とオンライン動画サービス(OTT)のTVINGで同時に観客にかいうことになりました。
ひとこと
すっきりと端的に映画を解説してくれた記事。「2人の人物が警戒心を崩し互いの傷を淡々と包み込む関係に進む旅程は映画に感性を加える」の一文にすでにジーンとなりました♪
✳︎写真はCJE&Mより記事は聯合ニュースからお借りしました。
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